3年前(2017年)の今頃は、夫婦ともども、不安でいっぱいでした。
短い間に妙に大きくなった乳腺の腫瘍を摘出する手術が決定していたからです。
話は結婚前にさかのぼります。
27歳の頃に乳腺に腫瘍がみつかり、良性の「乳腺線維腺腫(にゅうせんせんいせんしゅ)」とのことで半年または一年に一度、経過観察で外科に通っていました。
32歳で嫁いでからも、嫁ぎ先から通えるところにある病院の外科に通い、経過観察を続けていました。
特に大きさが変わらなかったので、毎回、様子を見て次回の予約をするという感じでした。
41歳になった2016年秋ごろから、腫瘍のサイズが大きくなり始めました。11月の経過観察の時、担当医も「大きくなってるね」と言い、細胞を取って調べてくれました。
結果は今まで通り「乳腺線維腺腫で矛盾しない」となりました。
それで次回は3月ということに。
さて、3月。
担当医が急に来られなくなり、代診の先生が見てくれましたが、ちょっと触診したあと、エコー検査をして、「次回は半年後ね」とだけ言いました。
去年の11月よりさらに腫瘍のサイズが大きくなったことを自覚していた私は、「念のため、3か月後にまた来たいんですけど」とお願いし、6月に予約を入れてもらいました。
6月。
担当医は何らかの都合で病院を辞めてしまっていて、3月の代診の先生とも違う、新しい先生が診てくれました。
この新しい先生は、触診の時点で「この大きさは、ちょっと心配ですね。一度、私の所属する大学病院で精密検査を受けてみませんか?」と言いました。
「乳腺線維腺腫」に似た病気で、「葉状腫瘍(ようじょうしゅよう)」というものがあります。この病気は、非常にまれで、例えば乳がん患者100人の中に1人いるかいないかぐらいの割合だそう。
細胞を取って調べただけでは乳腺線維腺腫との区別がほぼ不可能とされ、鑑別が非常に難しい病気です。
新しい先生は、この「葉状腫瘍」を疑って、一度きちんと調べましょうと言ってくれたというわけです。
ということで、7月。
検査までの間に、「葉状腫瘍」について調べまくりました!
- 乳腺線維腺腫に似ている。普通に細胞を取ったぐらいでは区別がつきにくい。
- 良性、境界性、悪性がある。
- 良性でも、手術で完璧に取り除かないと、再発する恐れがある。
- 再発する度に、悪性に向かって進行していく。
- 悪性だと他の臓器に転移する。でも乳がんではないので、化学療法が効かない。
- 悪性で転移すると、余命は2年程度となる。
なにぃ~!?メチャクチャ怖いじゃん!
ちなみに、検査結果は、またも「乳腺線維腺腫で矛盾しない」でした。
しかし!
調べるうちに「葉状腫瘍だったら大変!」という事実を知ってしまった私は、先生に言ってみました。
「あれから考えたんですけど、葉状腫瘍であるという想定で、マージンを多めにとって切除していただいてもいいですか?」
すると、先生、即答で「そうでうね。その方がいいと思います」
かくして、8月に手術決定!
たまたま、先生のお盆休みを挟んだりとかいろいろあって、8月下旬にしか手術の予約が取れませんでした(+_+)
で、心配期間が長引いた!
なんだかんだで、8月。
無事に全身麻酔で腫瘍の切除は完了。
手術の2日後に退院!(早い!最近はそういうものなのね)
リハビリの紙とかもらって、毎日、真面目にリハビリに励みました。
組織検査の結果が!
その後、術後の経過観察を兼ねて通院したところ、切除した腫瘍の組織検査の結果が出ていました。
良性の葉状腫瘍~!!!あら~!宝くじに当たったみたいな感じ(苦笑)。
手術ではマージンを十分に取って切除したので、再発の心配はほぼないとのこと。「線維腺腫で矛盾しない」という検査結果を鵜呑みにせず、切除してもらって本当に良かったです。
というか、3月に見てくれた代診の先生って何だったの!?
葉状腫瘍のよの字もなく、「じゃあ次回は半年後」って・・・。思い出すだけでも恐ろしいです。
かくして、6月からの(3月から?)怒涛の日々は、とりあえずひと段落。
- 経過観察中の腫瘍のサイズ変化に自分で気づいたこと。
- 代診の先生の判断を鵜呑みにせず、別の先生に診てもらったこと。
- 大学病院に行くまでに「葉状腫瘍」について調べまくったこと。
- 大学病院での検査結果を鵜呑みにせず、手術してもらうことを選択したこと。
葉状腫瘍は、手術で取り残しがあると再発→悪性転化を繰り返して最終的には手の施しようがなくなる病気であるため、初回の手術で完璧に切除することが最善にして唯一の治療法なのだそうです。
危なかった~。調べまくって良かった~。
当たり前の日常こそが幸せ
この年、葉状腫瘍の手術をして思ったことは、「当たり前」こそが幸せなんだということ。
普段、旅行に行ったり買い物したり、畑仕事したりしているのは、健康だからこそ実現できることですよね。
つまり、普段、当たり前だと思ってやっていることは、健康じゃないとできないことがほとんどなんですね。
私たちは日頃、当たり前なこととか平凡な毎日が嫌になることがありますが、それは思い上がりだな、と思いました。
命を脅かすような病気になって気づいた、健康が大前提の「当たり前の暮らし」の価値。
これからも健康に気をつけて、日々の暮らしを大切にしていきたいと思います。
ちなみに、手術が終わって3週間ほど経った9月、普通に稲刈りの作業をすることができました。
人間の回復力にびっくりしつつ、今までとほとんど変わらない生活ができることに感謝した秋でした。
皆さんも、葉状腫瘍に気をつけてくださいね。
詳しい話を聞きたい方は、個別にメッセージをいただければ、何らかの形でお答えします。
